問題社員対応

1 問題社員の類型と対応の必要性

 労働者は、労働契約の内容に従った労務の提供を行う他、会社に対し、会社の名誉・信用を傷つけない義務、会社が規定したルールを順守する義務、守秘義務、競業避止義務等の義務を負っています。

 したがって、上記の義務に違反するような問題社員、具体的には、勤務態度不良な社員、労働能力が欠如している社員、協調性がない社員、職場のルールを守らない社員、パワハラ・セクハラ等のハラスメント行為を行う社員、業務上横領や犯罪行為等を行う社員には、毅然とした対応をする必要があります。

 問題社員を放置してしまうと、職場の雰囲気が悪くなり、他の社員のモチベーションの低下や他の社員の退職を招く等、会社にとって大きな損害が発生することになります。

 どのような内容の注意・指導をし、それに対して問題社員がどのような対応をしたのか、素直に聞き入れたのか、反抗的な態度を示したのか、無視したのか等を記憶が鮮明な内に、メモや報告書等を作成し、書面で残しておくことも考えられます。

2 懲戒処分の検討

 問題社員対応の基本的な流れは、社員が義務を果たさないことに対し、会社が改善を図るため注意・指導、懲戒処分を行い、それでも社員が改善しない場合には、退職勧奨や解雇等を行うというものです。

 当該社員の問題行動が会社の懲戒事由に該当する場合は、就業規則に定められている譴責、減給、出勤停止等の懲戒処分を行うべき場合もあります。

 懲戒処分の種類・内容は、当該行為の性質及び態様その他の事情に照らして相当なものでなければなりません。

 過去に同様の事例がある場合には、その均衡を考える必要もあります。

3 解雇の留意点

 問題社員に対して、突然、解雇を行うことは、会社にとって不利な判断となる可能性が高いということは留意しておくべきです。

 最高裁判所で認められ、労働契約法16条で明文化された、いわゆる解雇権濫用法理です。

 あくまで注意・指導や懲戒処分を通して、当該社員の改善を促し、それにもかかわらず改善が見られない場合には、解雇や懲戒処分としての懲戒解雇を検討するべきと考えられます。

 また、当該社員の今後の職業生活への影響や問題社員とその家族の生活への影響等にも十分に配慮することが求められます。

 解雇や懲戒解雇を検討する場合には、当該社員が合同労組などの労働組合に相談する可能性、労働基準監督署や弁護士に相談し、裁判へ発展する等の可能性も十分に検討する必要があり、雇用保険の受給条件の説明や、業務の引継ぎ、未消化の有給休暇等の処理などについて取り決めるべき場合も考えられます。

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